データドリブン経営とは
データドリブン経営とは何か?
(宮井)今回は、データドリブン経営というテーマで、船井総研のDX推進室チーフコンサルタントである森本さんにお話をして頂きます。
森本さんよろしくお願いします。
(森本)よろしくお願い致します。
(宮井)まずデータドリブン経営とはどの様なものを指すのか教えてください。
(森本)データドリブン経営と私たちが呼んでいますのは、データに基づいて勘や経験だけではなく、実際のデータに基づいて経営の判断をおこなっていくことです。
そういう手法の一つを指しています。
(宮井)昔から勘や経験だけに頼らない方が良いという話はあったかと思います。
最近よく聞きますが、何か環境の変化があってのことですか。
(森本)はい。
データドリブン経営が、今注目されている背景としましては、DX人材のスキルの中に、データサイエンティストという職種が登場してきたということが一つございます。
そのデータに基づいて、判断をするという中には、その勘や経験だけでは気づかないような、思わぬデータ同士の関係性だったりとかが含まれているケースがあり、新しいビジネスチャンスを見出すことにもつながっている事例が実例があります。
人間だけではなくて、ゆくゆくはAIやデータベースを使った分析といったものを武器に変えて、自社の強みを発揮していく、そういう経営の新しい資産として、データが注目されているという背景があります。
(宮井)確かにデータアナリストというような方が、すごく最近活躍されていますよね。
ビッグデータ等、企業が扱えるデータが増えているというところも、きっと背景にあるのかと今お聞きして思いました。
(森本)そうですね。
データドリブン経営をするメリット
(宮井)データドリブン経営をすると、経営にどのようなメリットがあるのかを教えてください。
(森本)一番大きいのは、勘や経験に頼らない、ということが一つ挙げられます。
若手の方でも勘や経験がない方でも、その経験を持っている方と同じような業績を上げることができる。
そこが一番の魅力だと思います。
(宮井)確かに船井総研は、昔から経営者のかたと対峙するときに「自分の経験とか考えはいらない」、「データでものを語るから、経営者のかたも聞いてくれるんだ」という話はよくあるりますが、まさにそういうことでしょうか。
(森本)誰が言っても、誰が見ても同じということですね。
2つ目のメリットとしては、データを活用することによって、より正確な未来予測ができるようになるということが挙げられます。
勘や経験は引き継ぐことができませんが、データを残しておくことによって、このデータは、ずっと引き継いでいくことができます。
それだけ学習精度が高まって、新しい未来をより正確な方法で予測して、新しい経営判断をしていくということが、可能になると考えています。
(宮井)それは中小企業の経営には、すごく役立ちそうですね。
よく創業オーナーの方が勘と経験で切り開いた後、二代目、三代目の方が躓くとういようなケースが、結構中小企業は多いとは思うのですが、今森本さんがお話ししてくれたようなことが実現できたら、創業オーナーの勘と経験も引き継いで数値化してできるということになりますね!
(森本)おっしゃるとおりです。
3つ目のメリットとしましては、自社内から生まれるデータだけではなく、自社の事業環境を取り巻くデータを取り入れることが、新しい事業環境への適応のスピードを高めるということがあります。
周りのデータを取り込むことによって、実際に経営者の方が気付くよりも早く新しい事業環境の変化を検知することができ、経営の判断を早める一助になると考えています。
例えば、お客様のニーズの変化が一番分かりやすい例だと思います。
今まで売れていなかった商品が売れるようになったり、逆に今まで売れ筋だった商品に少し売上の伸び悩みが見られるといった場合に、そこにいち早く気付いて、どうしてかを考えるきっかけを作ることができます。
そのデータの分析をし続けていくことが、新しい経営のスタイルに今後なっていく、というふうに考えています。
(宮井)外部のデータを取り込むということは、どういうことですか。
(森本)例えば、ゼロパーティーデータという言い方をすることがありますが、直接お客様から頂いた生の声です。
これは商品に対する感想やコメント、そしてクレームなども含みます。
こういったものが、新しい会社にとっての新しいサービスを生み出す源泉となるデータに変わっていくと考えております。
それを今までは、お客様に接する一人一人が聞いて、その中で留まっていたところをデータ化することにより、全社で共有することができるようになり、さらに分析することができます。
例えば新しいお客様がおっしゃられたコメント自体を単語で分析をして、どういった単語が頻出してくるようになってきているのか、どんなニーズが高まってきているのかというところを察知することにつながると考えています。
(宮井)面白いですね。
それに取り組まない手はないですね。
今のメリットを聞いて取り組みたいと思う方、いらっしゃると思いますがこのデータドリブン経営をするには、どういう手順が必要なんでしょうか。
データドリブン経営を進める手順
(森本)まずは、少し遠回りに感じられるかもしれませんが、自社の事業を支える根幹となる強みを棚卸しをすることだと思います。
既にあるデータを分析して、そこから見出すというやり方もあるかもしれませんが、今うまく行っている要因を分析するために、どの様なデータを集めれば検証できるのかという逆算の発想でデータをためる仕組みを作っていくというような目的ありきのデータドリブンをして頂くのが一番おすすめです。
(宮井)ついついあるデータをなんとか分析して、と考えてしまいがちですけど、結局何を達成したいかという事が重要だから、必要なデータを取るための準備からが必要ということですね。
(森本)そうです。
仮説を立てて、それを検証していくということを繰り返していくのが重要です。
(宮井)そのデータを実際に取得していくとなったら、今度はデータによって取り方がいろいろと異なってくるということでしょうか。
(森本)データの取り方という意味では、今は本当にいろんな手段が出てきています。
お客様のアンケートもデジタル化することができます。
それから実際の購買のデータ、ECショップです。
つまりインターネットを通じて、お客様が物やサービスを購入した記録です。
こういったものは、もう既に購入した段階でデータになりますので、そのまま活用することができるようになりますし、実際にお客様が購入されるときの手段をなるべくデジタルを使って手続きを取るというように工夫していくことにより、お客様の行動や考え、音声も含めお客様の生の声をデータ化していくことが可能になると思います。
(宮井)できる限りデータで残していくことを進めたほうがいいということですね。
最後の質問になるのですが、データドリブン経営をする上で何か失敗しやすい例や注意すべきことがあれば皆さんに共有してもらえればと思います。
データドリブン経営で失敗しやすい例
(森本)まず、失敗しやすい例から、説明させて頂きます。
一番失敗しやすい例は、目的なく仮説なくデータの分析をいきなり始めてしまうことです。
偏ったデータから物事を判断してしまうことになりますので、例えば取りやすいデータから取ってしまうと、やはりその取りやすいところに引きずられた形の結果が出てしまうということがあり得ます。
その一方で、目的・仮説を検証するために、どんなデータを集めるべきかを考えたデータ収集を計画的に行っていかないと正しい判断につながりにくいということが一つございます。
もう一つ注意点ですが、データのフォーマットを最初から設計しておくことです。
取りたいデータにあまり偏りすぎるのは良くないのですが、取ったデータを分析するまでのプロセスにすごく時間がかかってしまうからです。
データがきれいではない状態になってしまって、分析が困難になってしまうというケースが散見されます。
例えば、
・お客様のヒアリング項目の統一
・営業さんがお客さんと接するときのヒアリング項目の統一
・サポートの方がお客様と接するときのヒアリング項目の統一
など、どういうことを聞くのか、どういうことを聞いていけば自社にとって有益なデータをきれいな形で残せるのかといったところの選択肢を統一するということです。
そういったところも含めて設計しておくと、素早いデータ分析につながり、素早い経営判断につながると考えています。
(宮井)ありがとうございます。
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