店舗型ビジネスにおいてのデジタル活用

店舗型ビジネスにおけるデジタル戦略とは

(宮井)今回は店舗型ビジネスにおいて、デジタルをどう活用すればいいのか?

その戦略について、船井総研のモビリティ支援部シニアコンサルタントである、曽根さんにお話をお聞きしようと思います。

曽根さん よろしくお願いします。

(曽根)よろしくお願いします。

(宮井)曽根さんは、自動車販売のご支援をされているんですよね?

(曽根)私は、船井総合研究所で、自動車販売店のウェブ集客支援をしております。

今、私が約25社ぐらい自動車販売店のサポートをさせて頂いておりまして、その中でも我々モビリティ支援部ですと、大体250社ぐらい支援させて頂いております。

そのうち約150社ぐらい、ウェブ支援をサポートさせて頂いています。

(宮井)今、自動車販売店はどういう状況なんですか?

(曽根)今自動車販売店としては、かなり転換期を迎えている状況です。

昔はチラシを配布していれば集客ができた時代はありましたが、今ではチラシだけでは、なかなか集客できない状況になっております。

実際にチラシ会社様からもチラシの配布部数の減少が、 半年に1回ぐらいは来るような状況でして、やはりチラシの購読ユーザー数も、減ってきている環境になっております。

その中で、やはりアナログな媒体だけを取り組んでいる会社様は、集客が減少していく傾向が強く出ております。

そこはきちんとデジタルを活用して集客に取り組めているかどうか、今集客数が増えているかどうか、という違いが生まれていると思っております。

(宮井)私も元々、10年前自動車販売店のお手伝いをさせて頂いたことがありましたが、その時は本当にチラシ一辺倒みたいな感じだったんですけど、もうそれがデジタルに大きく集客方法が変わって来ているということなんですね。

(曽根)はい、そうですね。

(宮井)分かりました。

今日はそのデジタルの集客について、詳しく教えて頂きたいと思います。

デジタルの集客のポイントとは、どういったところでしょうか。

店舗型ビジネスにおけるデジタル集客のポイントは?

(曽根)デジタル集客のポイントとしてはいくつかございます。

まずデジタル集客を考えていく上で、流入数や流入させた後のホームページがどうなっているのかがポイントになってきております。

一番外せないのがホームページの強化です。

ホームページの強化と言っても沢山あるのですが、やはり自動車販売店の場合ですと、まず在庫連動のホームページを作るのが一番大事です。

その上でいかに流入を増やしていくか。

ウェブ広告やグーグルマイビジネス、あとはSEO対策などが具体的な施策です。

いかに呼び込むかばかりに力を入れていくだけでは、なかなか反響は出ませんので、やはりホームページをどういうふうにしていくのかが改善の肝になっていくと思っています。

(宮井)ホームページはどのように強化すればいいのでしょうか。

ホームページの強化のポイントは?

(曽根)ホームページの強化の方法で一番ポイントになるのは、在庫連動と先程お伝えさせて頂きましたが、きちんと在庫を連動できるホームページ会社さんとお付き合いすることが、まず一番最初かなと思っております。

その上で、いかに在庫を掲載できるか。

業界の都合上掲載できない車両も発生するケースがありますが、掲載できる車両はきちんと掲載し続ける、という環境は作って頂きたいなと思っております。

そして、やはり導線作りも意識して頂きたいです。

例えば、広告をかける前提で考えていきますと「軽自動車」と検索した時に、「軽自動車」と調べたユーザーがどういう情報を知りたいのかというのを、定した上で「軽自動車」で検索した人はここに誘導していこうと考えて、それに合ったページを作っていくというのが必要かと思っております。

「TANTO」や「スペーシア」という具体的な車種名で検索している人が、どういうことを知りたいのかを考えると、やはり在庫一覧ページがポイントになってくると思います。

そうすると、「TANTO」だけで絞れるページを作っておいたり、「スペーシア」について紹介されているページを用意していく。

そういうところが非常に大事です。

ホームページを強化するという点では、流入から逆算しつつ構成を作っていくのが大事です。

(宮井)在庫連動ができるホームページ制作会社とのことですが、在庫連動というのは普通に在庫をホームページにアップするだけではなくて、そういうシステムがあるのでしょうか。

(曽根)システムによって異なるのですが、API連携でつなげるところもあれば、CSVを入れて連携できる部分もあります。

一台一台ホームページに在庫を打ち込んでいくのはかなり手間になりますので、API連携またはCSV連携ができるホームページ会社様のほうがいいかと思います。

(宮井)検索された内容が検索画面に表示されるという点についても、詳しくお願いします。

ホームページを検索画面に表示させるポイント

(曽根)ユーザーが検索した時に出せるポイントとしては3つあります。

グーグルであれば、一番上にリスティング広告というものがあります。

それは1クリックあたりいくらという形の課金式の広告になっております。

二つ目がグーグルマップのMEO対策と言われていますが、グーグルマップが表示されてくる状態で、さらにその下にSEOで自社のホームページを出せるようになっております。

ウェブ広告、リスティング広告に関しては有料のものになりますが、グーグルマイビジネスのグーグルマップやSEO対策は無料で対策ができる領域となっております。

(宮井)例えば「TANTO」と検索をした時に「TANTO」がきちんとホームページ上で表示されるというのは、ホームページの仕組みでできているのでしょうか、それとも広告でできるのでしょうか。

広告のことをよくご存知ない方もいると思うのでそこもお願いします。

(曽根)「TANTO」で絞った時に一覧を出せるかどうかは、ホームページ側の問題です。

なので在庫連動型のホームページを作る際に、車種ごとのフィルターをかけられるのが前提になっていくと思っております。

次に流入の部分で考えていかなければならないのが、「TANTO」と調べた人に対して

TANTOの在庫一覧ページをきちんと届けられるように、それを広告で出す必要があります。

今の広告だと、どういうキーワードで調べている人に対して、どのようなページを出していくのか、またどんな広告文を出していくのかというのが、個別に設定ができるようになっております。

「TANTO」と検索した人に対しては、TANTOが買える形で広告文を出しつつ、そこをクリックするとTANTOの一覧ページが出てくる。

一方で「スペーシア」と検索してる人であれば、「スペーシアの在庫が豊富」という広告が出てきて、そこをクリックするとスペーシアの在庫一覧ページが出てくる。

という状況になっております。

自動車販売店の場合だと、軽自動車のようなボディタイプで検索するユーザーよりも、どちらかと言うと車種で検索しているユーザーのほうが温度感が高いので、それでいくとやはり、車種在庫連動型のホームページを作ってフィルターがかけられる状態を作っておくことが有効です。

そして、そのページを広告でいかにマーケティングをかけていくのかというのが、自動車販売店の場合は大事になっています。

(宮井)時々ありますね。

例えば「ホテル 東京」と検索しているのに東京のホテル一覧ではなく、トップページがが開いてしまうウェブサイト。。。

(曽根)自動車販売店でも「TANTO」と検索しているのに、ホームページのトップページが開いてしまう広告とかあると、「面倒くさいな」と思って、見ている側は離脱したくなってしまいます。

そういう細かい設定はすごく重要です。

(宮井)続いて、ホームページでその他に備えるべき機能はありますか

ホームページで揃えるべき機能

(曽根)ホームページで備えるべき機能は、一番は在庫連動です。

それ以外ですと目玉車を載せられるかどうかも大事になります。

他にもクーポンダウンロードのような形で、ウェブ限定のプレゼントであったり、他のチラシ広告もされているなら、チラシ連動型のプレゼントでもいいですが、今買うべき理由としての、きっかけ作りも必要です。

あとホームページ集客する上では、安心感も欠かせません。

自社がなぜ選ばれているのか、というコンテンツを作っていく必要もありますし、会社紹介もきちんと打ち出しをしていきたいです。

あとは期間限定の企画を実施して今買うべき理由を打ち込んで、お客さんに伝えていくことそういうことが、ホームページで外せない機能です。

(宮井)仕様面はどうですか、特に今だとスマホで見ている方が多いと思いますが。

(曽根)今、自動車販売店の場合、大体80%から85%ぐらいがスマホ経由です。

実際に細かく行動分析の機能を使ってデータを見ていくと、スマートフォンで85%ぐらい見ていて、かつ問い合わせもほとんどスマホに寄っている状況です。

もっと細かくデータを見ていくと、二回ホームページにアクセスした人が、一番問い合わせ率が高くて、問い合わせ件数が多いというデータも出てきいます。

それを考えると、いかにスマートフォンで見やすいサイトにして、かついかに更新性が高いか、毎週更新されていることがお客さんに伝わる仕様になっているかどうか、そういうところがホームページ集客で伸ばしていくポイントです。

(宮井)毎週何度も見られている方が多いのでしょうか。

(曽根)そうですね。

仕掛けがきちんとできている会社に関しては、何回も見てくれるお客様が増えています。

目玉車がなく、何も更新されていなかったり、企画は毎月同じで変わっていないと、やはり二回、三回と見てもらえるケースは少なくなってしまいます。

ホームページが、あまりにも重たすぎて見栄えが悪かったり、開くのに時間がかかってしまうと、お客様は内容を見てくれませんし、伝えたい内容が伝わらないので何もインパクトを残せなくて、もう一回検索しようという気持ちになりません。

そういうところは、もう一回見たいホームページにすることが必要です。

(宮井)更新性も重要だと思いますが、表示されるスピードも重要ですか。

(曽根)中身を作り込まれているホームページがありますが、あまりにも重たすぎて全然開かないと、どうしても別のページに行きたくなってしまう。

だからそういったところでも、制作会社さんの選び方が、とても重要になってきていて、力量が問われます。

技術的な部分やデザイン的な部分で、どういうホームページ会社と付き合うかでホームページ集客が変わってくるかと思います。

(宮井)もう1つ店舗型ビジネスでポイントになってくるのは、先程少しお話し頂いたと思いますが、グーグルマップの集客力がすごいのですか?

グーグルマイビジネスの活用に関して

(曽根)グーグルマップ、グーグルマイビジネスを活用して、グーグルマップ上に自社の店舗情報を出していくことが、できるようになっています。

グーグルマイビジネスに関しては無料で、簡単に登録ができますので、登録していない会社様は登録が必須です。

グーグルマイビジネスでできることは何かと言うと、口コミ獲得もできますし、投稿もできます。

あと他にも、グーグルマイビジネスから経路検索を実施することもできます。

グーグルマイビジネスで、お客様が検索した時にマップ情報を見て「あ、ここのお店行きたいな」と思ってもらえるかどうかをきちんと作り込むことが大事です。

グーグルマップでどれだけ閲覧されたかや検索された時にどれだけグーグルマイビジネスが出てきたのかというデータは、グーグルマイビジネスでデータを毎月確認することができます。

ルート検索がどれぐらいあったのかというデータも、取ることができます。

ルート検索の数と実際に来場したお客様の数で比較をしていくと、明らかに相関関係があるという状況になりました。

グーグルマイビジネスで経路検索が多い店舗に関しては、実際の来場数も多いですが、グーグルマイビジネスでの経路検索が少ない会社様に関しては、実際の来場数も少ないという状況になっております。

グーグルマイビジネスを表示させた上で評価が悪かったらそのお店に行こうと思いませんので、きちんと口コミを獲得していくことも重要です。

評価や件数を多くしていくのがグーグルマップでの対策になります。

(宮井)表示を増やすのは更新頻度ですか。

(曽根)もちろん距離が影響してしまうので、近い店舗という話もあるんですが、それ以外でいくと、やはり更新で対策ができるようになっております。

グーグルでも大事にされているのが、最新の情報を保てているかどうか、というのがあります。

我々のご支援先でもデータを見ていくと、きちんと投稿ができているかどうか、写真を追加できてるかどうか、または口コミが獲得できてるかどうか、ということがきちんとできているかによって、表示回数に差が出始めております。

やはり更新性が大事です。

(宮井)もう1つ、商品を持たれている店舗さんだと、SNSの活用はどこもやられてると思いますが、うまくいっているところと、うまくいってないところがありますが、その違いはどういったところでしょうか。

SNSの活用に関して

(曽根)SNSは、自動車販売店は、すごくうまくいっている会社様はあまりありません。

理由としては例えばインスタグラムに関して、ただ車の紹介をした時に、お客さんがオフモードになっている時に、車の紹介を見たいかというとそうでもなかったりします。

やはりインスタグラムで対策すべき点としては、きちんと人が写っていて、かつそれが今流行りのリールがありますが、短い動画できちんと人が何か動きながら説明をしているとか、会社紹介をしていることなど、少し遊び心を持たせていく、という取り組みが必要なのかなと思っております。

実際に、そういうコンテンツを作っている会社様で、たまに月に一回ないしは、二回ぐらいキャンペーンの告知を実装したら、「インスタグラムから集客ができました」という会社様もありもします。

やはりお客さんが見たくなるようなコンテンツを定期的に作って、フォロワー数も徐々に増えていくとそれだけ効果は出てきます。

もう1つ自動車販売店で集客ができる媒体は、Youtubeがあります。

Youtubeは動画をアップする媒体になりますが、Youtubeにただ商品動画、商品の説明動画を上げるだけだと、それもどこでもできてしまうコンテンツになってしまいます。

例えば自社がオールメーカー(他のいろんなブランドを扱っている会社)であれば、車種ごとの比較動画を録って上げることもできます。

動画で今伸びているのが試乗動画であったりしますので、現物がありかつその車を試乗しているシーンや、内装中の紹介など、そういう部分がやはりポイントになってくるのかと思っております。

(宮井)結構人が出てくるというのがポイントなんですね。

(曽根)やはり車屋さんだけれども、車にフォーカスするよりも、人にフォーカスしたほうが、反響は高いなと思っております。

デジタル施策の取り組む優先順位

(宮井)今までたくさんのデジタル施策を教えて頂きましたが、取り組む順番について、何か気を付けるべきことってあるんでしょうか。

(曽根)集客からいきなりお金をかけ始めるというのは、なかなか危険かなと思っております。

まず、ホームページをきちんと作り込んでください。

実際、我々がお付き合いさせていただいた中で、過去うまく伸ばせなかった会社様がありましたが、ホームページの変更が全くできないホームページ会社さんと付き合っており、やはり伸びませんでした。

きちんと融通が効いて、先ほどお伝えしたような在庫連動ができるホームページ会社を選んでお付き合い頂くのが一番大事かと思っております。

その上で、集客をどうしていくか。

SEO対策であったり、グーグルマップはもちろんですが、きちんとお金をかけて露出量を増やすためにリスティング広告を実施したり、バナー広告であったり、Youtubeにも広告を出したり、グーグルマップにも広告を出したりできます。

幅広く広告を出せる場所はございますので、そこに関しては優先順位を付けて、是非取り組んで頂ければと思っております。

(宮井)ありがとうございました。

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